クロス最高級ボールペンのピアレス125をレビュー

ビジネスパーソンにとって、クロスのボールペンは有名な存在だ。質実剛健で有名な親父でさえ、米国クロスのボールペンは知っていた。
いやいや、知っていたというか、彼は実際に所有していた。それなりの立場になると、百円ショップの事務用ボールペンで商談を進める訳にはいかない。
もちろん尊敬する某本部長は、百円ショップというか会社支給の事務用ボールペンを使っている。しかし彼は設計部署を統括する仕事を任されている。僕の会社の場合には、客先を訪問することのない立場ということになる。
ちなみにケネディ大統領はドイツ製モンブランを署名用に使っていたけれども、オバマ大統領はクロスのタウンゼントというボールペンを署名用に使っていた。トランプ大統領とバイデン大統領は、センチュリー2というボールペンを使っていた。庶民的なイメージを出すためには、価格的に手頃なセンチュリー2が良いのだ。
ところでタウンゼントがクロスの最上位シリーズだと思い込んでいる人がいるけれども、実はピアレス125というシリーズが最上位として君臨している。信じられないのであれば、クロスのホームページを参照してみると良い。
(クロス・ジャパンによると、「最も高級なコレクション」とのことだ)
もちろん価格的には21金のクラシックセンチュリーが上回るけれども、その次に位置しているのがピアレス125となる。信じられなければ、ネットショップを見て回ると分かる。
ちなみにキャップにはスワロフスキー・クリスタルなるものが埋め込まれており、高級モデルとして位置付けようとしていることが分かる。それにピアレス125シリーズには23金モデルが存在しており、相当力が入っていることが感じられる。
それだけではない。僕のピアレス125ははローラーボールと呼ばれるキャップ式ボールペンだけれども、そのキャップ式は “回転式” だったりする。モンブランの146や149といった高級万年筆や、ペリカンのスーベレーン万年筆のように、オシャレな回転式キャップを採用している。
「なんで回転式なんて面倒な仕掛けにするのか?」と、不思議に思う方もいるかもしれない。たしかに押したり、引いたりしてキャップを着脱する方法の方が便利だ。慣れれば片手だけでボールペンを利用することも出来る。
ただし着脱式だと、音が立つものが多い。ゴルゴ13だったら、この操作音でターゲットに何か生じつつあることを悟られてしまう。博物館の中はノック式も含めて使用禁止として、筆記具は鉛筆ぐらいしか使えないところもある。
その点で回転式のキャップは音を立てないで利用することが出来る。こんなに嬉しいことはないよ、ララァ。
それに実用性でいえば、回転式キャップの方が着脱式キャップよりも密閉度が高い。万年筆のように水性インクを使用している筆記具は、ペン先が乾燥するのは望ましくない。そしてクロスのローラーボール型ボールペンでは、サインペンのようなセレクチップ(ポーラス芯)という替え芯(リフィル)を装着して使用できる。
このサインペンみたいなセレクチップはトランプ大統領もお気に入りで、彼のメモはいつも黒々とした太字で書かれていた。僕もたまたま手に入れる機会があったので試したら、おそろしく快適だった。手帳のメモには適さないけれども、アイディアを書き綴ったり、子供に見せる説明図にはバッチリだ。問題は庶民にとっては、恐ろしく高価で手を出しにくということくらいだ。
まあ回転式というのは構造的に簡単だから、長い歴史のある筆記具では、単純に昔から回転式を採用しているだけということが真相かもしれない。 しかし現在では回転式は珍しい存在だから、ちょっとした高級感といったものを味わうことが出来るだろう。
さてこれだけであれば、「へー、お金持ちが購入するような贅沢品か。貧乏人には興味ないよー」で終わってしまう。しかし流石はクロスだけあって、徹底的なまでに使いやすさを追求している。
先ほどの画像はセレクチップと呼ばれるローラーボール型ボールペンだけれども、現代人が使いやすいデザインとなっている。クロスというと細身で長いボールペンが多いけれども、ピアレス125は見るからに太軸ボールペンに仕上がっている。
いや見た目だけではなく、本当に使いやすい。何を隠そう、2022年11月末から12月上旬にかけて、3本も同じボールペンを購入してしまった。一本あたり税込み60,500円だから… 合計18万1,500円である。
(家族にバレたら恐い… というか、バレても「モトは取れたよ」というために本記事を書いていたりする)
実はクロス最初の万年筆は、ピアレスという名称だったりする。1889年に登場しており、それから125周年もクロス社が存続したことを祝ったのがピアレス125なのである。
さて僕はタウンゼントやセンチュリー2には大変お世話になっているけれども、実はそのままでは使えない。いや短時間であれば、特に支障はない。ただし数時間に渡って筆記具を使うような場合には、補助具を取り付けて使用している。
昔の人は “軽くて細軸の筆記具” が使いやすかったけれども、現代人は違うのだ。
パソコンやスマホを利用する時間が多いと、筆記具を使う時間が減少する。当然、昔の人に比べると、ペン先のコントール力は落ちている。そういう現代人が緻密にペン先をコントールしたければ、太軸で重い筆記具である方が望ましい。
そのことに最初に気づいたのがクロスで、太軸シリーズであるATXシリーズが商品化された。それに続くかのように、モンブランのスターウォーカーを商品化された。そして今ではファーバーカステルなども、イントゥイションというシリーズを商品化している。
(カルティエのロードスターはクセがあり過ぎるけど、あれも太軸ボールペンと言えそうだ)
なお太軸で重いボールペンは長時間利用には向かないけれども、現代人が朝から晩まで筆記具を連続使用することはない。だから現代では、太軸の筆記具が大人気になっているという訳だ。
ちなみに興味深いのはのモンブランのジェネレーションという廃盤モデルだ。事務処理に利用される油性ボールペンは細軸だったけれども、万年筆やローラーボール型ボールペンは太軸タイプだった。
ローラーボール型ボールペンというのは、コンビニで販売されているSARASAやシグノのようなジェルインクを採用している。だから粗忽者には、キャップ式ボールペンの方が助かる。そういう理由で、ジェネレーションを購入したことがある。
ジェネレーションはピアレス125のように40gを超えることは無かったけれども、恐ろしく使いやすかった。それで日常的に使っていたけれども、油断して紛失してしまうことがあった。
僕が購入した頃はお手頃価格だったけれども、紛失時のモンブランは高級ブランドと化していた。おまけにジェネレーションは廃盤となったので、新品を再購入することも出来なかった。
それで今まで長いことセンチュリー2を使っていたら、ピアレス125に出会ってしまったという訳だ。ちょっとした工夫をしたので、キャップを外した本体だけでも35gという重量がある。
実に書きやすくて、今のところは “最も仕事が捗る筆記具ナンバー1” となっている。それで紛失に備えて、合計3本も用意してしまったという訳だ。万年筆のように寝かせ気味にして速記しても良いし、油性ボールペンのように直角に近い角度で使っても良い。
こういった多様な使い方を可能にしてくれるのが、短い本体軸(ボディ)である。35gという重量であっても、重心が手元側になる。インクも油性、水性、ジェルを選べるので、自分の好みにあった書き心地を選ぶことが出来る。
(ちなみに現在は粘性の低い、染料インクのSARASAドライ0.4mmを装着している。ただし体調や気分によっては、シグノへ交換することもある)
そんな訳で、クロスのピアレス125という筆記具には助けられている。機会があったら、ぜひ一度試してみることをオススメしたい。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:小野谷静